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このコーナーはMagPlusや雑誌の編集を担当するメンバーによるブログ。誌面だけでは伝えきれない話題をお届けします。

2012.06.12

【Report】日独の地域薬局の姿を紹介

 6月2日に「次世代薬剤師を育てる会」シンポジウム(主催・ネオフィスト研究所,エニイクリエイティブ)が都内で開催され,「地域とともに歩む薬局」をテーマにドイツと日本の地域薬局の取り組みが紹介されました。

●アッセンハイマー慶子氏

“薬局は儲けすぎ”バッシングを経て地域活動を強化

 ドイツ・ロッテンブルクで薬局を営むアッセンハイマー慶子氏は,ドイツの医療保険制度や調剤の特徴を紹介しながら,地域のなかで薬局が果たしている役割について紹介しました。

保険償還の仕組みの違いなど解説

 ここでは,アッセンハイマー氏が挙げた,日独の制度や仕組みの違いを紹介します。
・PTAと呼ばれる調剤技術者が調剤業務のほとんどを行える
・処方箋は1枚に3医薬品しか記入できず,平均処方薬剤は1.6剤
・患者への調剤は,包装のままでの交付(いわゆる「箱出し」)が基本
・包装内には添付文書が入っており,患者はこれを読むことが義務づけられている
・技術料にあたる報酬はなく,薬剤の購入価格に3%上乗せした金額+8.1ユーロ(1処方箋あたり)+付加価値税を保険請求する
・保険ごとに保険適用する薬剤が決まっており,患者が加入している保険で適用されない薬剤は患者負担となる
・ジェネリック医薬品のある薬剤については,保険償還されるのはジェネリック医薬品の価格までで,差額は患者負担となる(参照価格制度)
・「薬歴」ではなく「顧客カード」で患者を管理
・配合禁忌や相互作用をオンラインでチェックできるシステムが薬剤師の団体で構築されており,薬局はそれを利用できる
・薬局で扱うことのできる医療用・一般用医薬品,化粧品,サプリメントなど全品目のリスト(Lauer-Taxe)がオンラインで整備されており,発注にも利用できる
・医薬品卸は1日4~5回の配送が基本
・処方箋調剤も行えるオンライン薬局が合法化されているが,反対運動も起きている

学校での実験材料提供などで地域活動

 地域での薬局の取り組みとしては,「薬局の日」を年に1回行い,血糖値測定など地域住民の健康チェックを行ったり,OTC薬の特売などを行っています。
 また,学校での出前授業や,化学実験材料の供給など学校教育にも力を入れています。
 1990年代には薬局に対し“儲けすぎだ”というバッシングが起きたそうで,以降,地域住民に対する啓発活動に力を入れるようになったそうです。

●篠原久仁子氏

地域で臨床研究のできる薬局を目指す

 茨城県水戸市でフローラ薬局を営む篠原久仁子氏は,保険調剤では在宅医療や糖尿病療養指導の地域連携,ジェネリック医薬品の普及促進などに力を入れる一方,ハーブを使ったアロマセラピーやエッセンシャルオイルを使ったフットケアなど,調剤以外の分野にも力を入れています。大学院生時代の病院研修で,目の前の患者に何もできないという経験をした篠原氏は,以降「患者に何ができるか」を自分の仕事のテーマとして薬局業務を調剤の枠にとらわれず展開してきたそうです。

糖尿病患者への積極介入は服薬指導のみより効果的

 篠原氏は糖尿病患者に対し,薬局店頭で服薬指導のほか生活指導などを行い,地域医療機関とも情報共有するなど積極的に介入した群と,服薬指導のみを行った群で比較研究した結果を紹介し,介入群でHbA1c値が有意に低下することが確認されたことを紹介。薬局での介入の効果を示しました。
 また,今後の薬局像として,地域で臨床研究のできる薬局を「薬局4.0」と呼ぶことを提案し,現場の疑問を研究しエビデンスを作れる薬局薬剤師を目指すよう呼びかけました。(MK)

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