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このコーナーはMagPlusや雑誌の編集を担当するメンバーによるブログ。誌面だけでは伝えきれない話題をお届けします。

2012.11.07

【Report】次期診療報酬改定などにらみ薬剤師の行動求める――日本医療薬学会

●会場となった朱鷺メッセと日航ホテル


 第22回日本医療薬学会学術大会(大会長・佐藤博新潟大学医歯学総合病院薬剤部長)が10月27日から2日間,新潟市の朱鷺メッセほかで開催されました。シンポジウム中心の構成となった本年会には5,000人を超える参加者が集まりました。

病院薬剤師は過去の仕事を捨てる勇気も必要

 大会長講演「岐路に立つ医療―千年紀の目覚め」で佐藤氏は,薬剤師の意識改革の必要性を強調しました。

●佐藤博氏


 佐藤氏は過去の成功事例に固執し,新たな技術の潮流に乗り遅れ倒産した米・コダックを例に挙げ,「病院薬剤師のコダック化」が起きているのではないかと懸念。急性期の入院医療に導入されたDPCについて,「医療の再発見」であると評価し,そのなかで薬剤師の病棟業務が求められ病棟業務実施加算につながったことを紹介。これら新たな医療の潮流のなかで,病院薬剤師が「過去の主たる仕事を捨てる覚悟も必要」と変化を求めました。

薬剤師の病棟配置のメリットを示してほしい

 特別講演「24年度診療報酬改訂と薬剤師の役割」で東邦大学医学部教授・中央社会保険医療協議会委員の小山信彌氏は,新設された「病棟薬剤業務実施加算」の話題を中心に解説しました。

●小山信彌氏


 小山氏は,DPCのなかで病棟への薬剤師の配置を係数化しようと考えた2010年の診療報酬改定の経緯を踏まえ,今回の加算につながったことを紹介。小山氏は「病院薬剤師は病棟常駐が望ましい」との持論を展開し,そのためにも病棟に薬剤師が常にいることのメリットを示す必要性があると述べました。
 小山氏はメリットの一つとして「病棟には薬のことがわからない若い研修医,看護師が多くいる。横で相談にのれば信頼関係が生まれ,5年も経てばいいチーム医療が行えるようになる」と提案したほか,病棟配置によるヒヤリハットの削減を求めました。小山氏は「薬に関連するヒヤリハットは他とケタが違う。この2年でそれを変えれば病棟配置が評価される。中医協で病棟配置が検証されるのでがんばってほしい」と,薬剤師の取り組みに期待しました。

次期医療計画見直しに向け薬剤師の実績作りを

 特別講演「地域医療計画見直しと薬剤師の役割」で国際医療福祉大学大学院教授の武藤正樹氏は,新たな地域医療計画で在宅医療が重視されるなかで,薬剤師の関わりが課題になることを示しました。

●武藤正樹氏


 武藤氏は,2013年からの医療計画で盛り込まれる在宅医療支援拠点に薬局が含まれなかったことを問題視。次回2018年の見直しに向け,薬局薬剤師の機能の見直しを医療計画に書き込む必要があると述べ,今後の在宅医療での実績づくりを求めました。

バイオシミラーの登場で薬剤費低減に期待

 また武藤氏は,現在使用推進に向けて薬剤師の積極的な関わりが求められるジェネリック医薬品についても言及。高額医薬品の多数をバイオ抗がん剤が占めているなかで,その薬剤費の低減化が求められることを指摘。「低分子の抗がん剤をGEに替えても焼け石に水」であることから,2015年頃から特許切れが始まるバイオ抗がん剤をバイオシミラーに切り替えることによる医薬品費削減に期待しました。(MK)


●会場の朱鷺メッセは信濃川河口にある。写真奥には佐渡へのフェリーが見える。
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