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このコーナーはMagPlusや雑誌の編集を担当するメンバーによるブログ。誌面だけでは伝えきれない話題をお届けします。

2013.01.31

患者の安全・安心への取り組みを紹介 第34回日本病院薬剤師会近畿学術大会

 第34回日本病院薬剤師会近畿学術大会が1月26,27の両日,滋賀県のびわ湖ホールなどで開かれました。メインテーマは「安心を与える薬剤師に―母なる琵琶湖のように―」。初日夜は雪に見舞われるなど,寒さが厳しいなかでの開催となりましたが,各会場では熱気を帯びた議論が展開されました。

●会場となったびわ湖ホール(左)とピアザ淡海(右)

RMPのインタビューフォームへの記載を要望

 初日の基調講演「薬物療法の安全・安心を目指して」では虎の門病院薬剤部の林昌洋氏が,国民・患者を安心に導く役割を薬剤師が担っていると強調しました。林氏は冒頭で「安全」と「安心」の違いを説明。安心は患者の心の中にあるもので,いかに安全なプロセスで治療が行われるかを説明しても,安心を得られないこともあると述べました。
 そのうえで,薬剤師には薬に実在するリスクと潜在するリスクを見抜くことが求められると指摘。医薬品リスク管理計画が4月から実施されるのを受け,「リスク管理計画をインタビューフォームに載せてほしいとお願いしている」ことを明かしました。
 林氏は,「医薬品の副作用は100%防げることが求められているわけではない。副作用を90%防げる薬が承認されたら,残りの10%は現場でみていかないといけない」と語り,臨床現場でのリスク管理の重要性を指摘しました。

入力代行でインシデントを削減

 2日目のシンポジウム「広げよう・深めよう病棟薬剤業務」で,りんくう総合医療センター薬剤科の森朝紀文氏は,薬剤師による処方入力支援の取り組みを紹介しました。
 同院の循環器病棟では2011年5月より,薬剤師が処方切れオーダーの代行入力を行っているとのこと。対象は継続処方のみで,配薬トレーの処方切れを看護師と薬剤師でチェックしたうえで,患者の検査値などを確認しながら薬剤師が処方オーダーを入力するそうです。処方切れがある場合,従来は看護師が医師を探し処方してもらうのに時間を費やしていましたが,薬剤師による代行入力によりその手間や時間を省くことができ,看護師から歓迎されているそうです。
 同院では病棟薬剤業務の実施に伴い,代行入力の対象を11の診療科に拡大。この取り組みにより内服薬のインシデント件数が有意に減少したというデータが得られたそうで,森朝氏は「代行入力は安全な薬物療法の実践に貢献できる」と結論付けました。

病棟常駐で医師からの処方設計依頼も増加

 病棟薬剤業務に関する演題は,ポスター発表でも多くみられました。姫路医療センターの発表によると,同センターでは2012年5月に薬剤師の病棟常駐を開始したところ,薬剤師からの処方提案件数が増加。同年1~4月の58件が5~7月に102件に,1カ月あたりで16.8件から40.3件になったとのこと。また,医師からの処方設計支援の依頼も多くなったそうです。

●ポスターセッションのようす

お薬手帳へのシール貼付で腎機能低下患者への注意を促す

 2日目の口頭発表では,滋賀医科大学医学部附属病院薬剤部の磯野哲一郎氏が,滋賀県で作成・活用されている「CKDシール」を紹介しました。このシールは腎機能が低下している患者のお薬手帳の表紙に貼られ,院外処方を受ける薬局薬剤師への注意喚起に役立てられています。
 シールが渡されるのは,推定糸球体濾過量(eGFR)が60mL/min/1.73m2未満の患者。この取り組みは2012年3月に滋賀県下9病院の腎臓内科専門医でスタートしましたが,9月には13の病院・クリニックに参加施設を拡大。さらに,滋賀医科大学医学部附属病院では10月から糖尿病内分泌内科に対象を広げ,2013年1月には全診療科で病棟薬剤師がシールを貼付しているそうです。(NA)

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