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このコーナーはMagPlusや雑誌の編集を担当するメンバーによるブログ。誌面だけでは伝えきれない話題をお届けします。

2013.05.30

電子お薬手帳に政府も期待 医療福祉クラウド協会設立記念シンポ

 NPO法人「医療福祉クラウド協会」(御園慎一郎理事長)の設立記念シンポジウムが5月9日,都内で開催されました。同協会は「日本医療情報ネットワーク協会」を改組したもので,医療福祉情報の活用に向けたクラウド基盤の整備を活動目標としています。
 今回のシンポでは,現在国が進めている保健医療福祉情報の電子化と共有化に向けての取り組み状況や現状の評価,現場からの期待や要望などが話し合われました。

「どこでもMY病院構想」で一番大きな動きが「e-お薬手帳」

 内閣官房情報通信技術(IT)担当室の有倉陽司参事官は,現在国が進めている保健医療ネットワークは「どこでもMY病院構想」,「シームレスな地域医療の連携」,「途上国への技術展開」が3本柱になっていることを紹介し,とくに昨年度まで実証事業が行われていた「どこでもMY病院構想」については,「一番大きなことととらえているのは,大阪府薬剤師会の『e-お薬手帳』」と語り,電子お薬手帳の実現に期待を寄せました。

●内閣官房・有倉氏

モバイルヘルスの動向に注目

 総務省情報流通行政局長情報流通高度化推進室の吉田恭子室長は,日本の保健医療情報の現状について「電子化されたデータはたくさんあるがつながっていない」との問題意識を示し,各種データをつなぐセキュアな基盤を作り,医療の質の向上や行政施策につなげたい,との意向を示しました。データ連携の例として吉田氏は,香川県で実証事業を進めてきた「医薬連携事業」を紹介し,病院のカルテ情報,検査情報と電子化された処方箋情報を薬局に提供することで,外来患者に対する円滑な情報連携が実現できた,と評価しました。
 また,患者自身が普段の生活のなかで測定した血圧,血糖値などのデータをクラウド環境に送り,個人で管理するだけでなく医療機関などが参照する「モバイルヘルス」について,「新たな産業の創出という観点から動向に注目している」と述べました。

●総務省・吉田氏

お薬手帳は薬の情報だけでは不十分

 北海道薬科大学の岡﨑光洋准教授は,自身が開発して地域での実証事業を進めている電子お薬手帳「おくすり手帳」の開発や運用で気づいた課題を中心に講演。岡﨑氏は「お薬手帳は患者の状態が書かれたノートであるべきだが,現実は調剤した薬のリストにとどまっている」と現状を分析。「身の回りの情報を集めるLifeLog」という本来の目的を果たせる電子お薬手帳の開発を目指したことを紹介しました。また,電子化する意味として,今後の地域包括ケアのなかで保健医療福祉の従事者が共有する情報の一つとして,患者自身が管理するPHR(Personal Health Record)として「お薬手帳」の情報が活用されることを想定しました。

●北海道薬大・岡﨑氏

患者の「現在の情報」も共有するICTを

 在宅医療に取り組む医師の立場で,医療介護職種の情報共有について講演したファルメディコ株式会社の狭間研至氏は,医療が抱える問題をどうICT,クラウドが解決するかという視点が必要であることを強調しました。
 とくに在宅医療は常時医療従事者が介入していないことから,患者がバイタルサインを自己測定し自動的に医療職種の端末に情報が送られる「モバイルヘルス」の活用や,在宅医療に関わる多職種の連携のための情報共有の仕組み作りの必要性を指摘しました。また,共有すべき情報としては,カルテのような「過去情報」だけでなく,今日の血圧,表情といった「現在情報」が大切になるとの見方を示しました。(MK)

●ファルメディコ・狭間氏
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