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このコーナーはMagPlusや雑誌の編集を担当するメンバーによるブログ。誌面だけでは伝えきれない話題をお届けします。

2012.01.13

【論点】ポイント付与は保険医療にどんなメリットがあるのか

 保険診療・保険調剤で支払う患者一部負担分について,診療した医療機関,調剤した薬局が患者に「ポイント」を付与することを禁止する「保険医療機関及び保険医療養担当規則」,「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」,「高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準」の一部改正案がパブリックコメントの募集を開始しました。募集期間は1月10日から31日までとなっています。
 対象は保険医療機関,保険薬局となっていますが,現状で問題となっているのは保険薬局であることはご存知のとおりです。


 パブコメに書かれた内容自体は,中央社会保険医療協議会で診療側委員の一部が問題提起し,事務局が論点整理したものと変わりないように思えますが,クレジットカードや電子マネーが付与するポイントとの違いについての説明は少し変わったようです。

薬局以外の者が付与するもの

 パブコメの内容は上記ページにPDFが掲載されていますので,それをご覧いただきたいのですが,ここにクレジットカードなどで支払った場合にカード利用者に付与されるポイントとの違いが説明されています。
それによると,クレジットカードなどのポイントが「やむを得ない」理由が2点説明されています。
(1)患者の支払いの利便性向上を目的とするものだから
(2)保険薬局以外の者が付与するものだから
 このうち,(1)の理由はこれまでも何度か挙げられていましたが,(2)はこれまで出てこなかった気がします。
 私は薬局が付与するポイントとクレジット会社や電子マネー会社が付与するポイントとの一番の目的の違いが(2)だろうと思っていますので,特段異論はありません。

ポイントの目的

 クレジットカード会社や電子マネー会社が利用者にポイントを付与するのは,カード・電子マネーの利用促進と,それによる手数料収入増が目的でしょう。その薬局を利用してもらいたいからではない。
 一方で,薬局が保険調剤(の一部負担分)にポイントを付与するのは,あくまで薬局の利用促進です。自分の薬局に来て保険調剤してもらいたいからポイントを付与する。
 私には目的の異なるものが,「同じポイント」だとは思えません。

クレジット払いは「取りっぱぐれ」対策の一面も

 話はずいぶん遡りますが,以前は医療機関や薬局での患者一部負担の支払いにクレジット払いは認められていませんでした。
 それを認める方向に行政が動いた背景として,患者が一部負担金を支払わず,医療機関・薬局が患者への請求に苦労するという話が増えてきたことがありました。
 クレジット払いの場合,医療機関・薬局が受け取る金額は(クレジットカード会社の手数料が差し引かれ)実際の一部負担額より少ないのですが,それでも取りっぱぐれるよりマシ,という話を薬局の方から聞いたことがあります。クレジットカードも電子マネーも,薬局は患者からではなくそれぞれの会社から支払いを受けるので,確実に集金できるのです。
 クレジットカードや電子マネーによる支払いは,患者の利便性向上だけでなく医療機関・薬局にもメリットがあるので,ここまで普及したのだと思います。

保険医療にどれだけ役立つか

 中医協の議論で、クレジット払いに付与されるポイントの是非に議論がいかなかったのは,クレジット払いは医療機関側にメリットがあり,一部負担未払いを減らし保険医療の仕組みを維持することにも一定のメリットがあると皆が認識しているからでしょう。
 薬局のポイント付与を認めるよう訴えるなら,そのポイントが保険医療にどれだけ貢献しているかを説明するのが一番の早道だと思います。(MK)

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