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このコーナーはMagPlusや雑誌の編集を担当するメンバーによるブログ。誌面だけでは伝えきれない話題をお届けします。

2013.11.29

日本薬局学会学術総会シンポから薬剤師と患者情報の関係を考える

 11月23,24の両日,大阪国際会議場で第7回日本薬局学会学術総会が開かれました。ここでは電子お薬手帳とPHR(パーソナルヘルスレコード)の将来像や,薬剤師の職能拡大に向けた患者情報の活用と課題などに関するシンポジウムを紹介します。

電子お薬手帳を服薬支援ツールに

 シンポジウム1「ユビキタス時代の医療のIT化」で,アインファーマシーズの土居由有子氏は同社薬局で2011年から進めている,スマートフォンを利用した電子お薬手帳アプリケーションの現状と,今後の展望を紹介しました。同アプリは調剤情報を記録できるほか,調剤された薬剤の内容などに応じて,飲みづらいときの工夫などの情報を提供する機能があります。土居氏は,このアプリでの情報提供が患者の服薬支援につながることを期待しました。また,処方医からは医師と患者,薬剤師との双方向コミュニケーションツールになることへの期待もあると紹介しました。


●土居由有子氏

カルテ情報で薬剤師はITを味方に

 同シンポで慶應義塾大学大学院薬学研究科の漆原尚巳氏は、電子お薬手帳推進のバックボーンである政府の「どこでもMY病院構想」を解説したほか,医療情報を医療機関間で共有する香川県などの地域医療情報共有ネットワークを紹介。
 香川県のネットワークでは,薬局が電子的に処方箋情報を受け取るだけでなく,患者のカルテ情報も閲覧できることから,処方箋1枚で患者の状態や病名を判断するという,これまでの薬局のあり方が大きく変わることを指摘。「今は薬剤師が(ネット販売など)ITでチャレンジを受けているが、閲覧した情報を薬剤師が患者に還元することで,ITを味方につけることができる」と指摘し,調剤の質の向上にIT化が役立つことを示しました。


●漆原尚巳氏

地域連携パスによる医薬連携を紹介

 シンポジウム2「薬局薬剤師の職能拡大」で,大阪赤十字病院呼吸器内科の吉村千恵氏は,服薬情報の共有で慢性疾患患者を地域でケアする重要性を指摘しました。同氏は,喘息患者の外来治療の質の向上に向けた病院と地域薬局との連携の事例を紹介。院内投薬の時代は,服薬指導した病院薬剤師から患者情報のフィードバックがあったが,院外投薬になりそれがなくなる不安を感じたという吉村氏は,「服薬情報提供書」を処方箋とともに患者に渡し,調剤した薬局から情報を送ってもらうようにしたそうです。その結果,患者の情報やジェネリック薬への変更の内容などについて,薬局からFAXで受け取ることができ,患者の情報を医師と薬剤師が共有する連携につながっていることを示しました。

心電図測定を副作用発見につなげる

 同シンポでやがけ薬局の尾上洋氏は,測定機器を用いて得た患者のバイタル情報を,患者の薬物治療の評価につなげる実例を紹介しました。尾上氏は,在宅訪問などで患者の心電図を測定し,コリンエステラーゼの低下や低カリウム血症の可能性を見つけ,処方提案に結びついた事例を報告。ある患者で,QT間隔がQT延長の判断基準には満たないものの延長傾向にあることを見つけ,医師に情報提供したところ,重度の低カリウム血症であることがわかり,原因と推定される薬剤を中止した例があるそうです。尾上氏は「何かあったら測定するというのではなく,服用前のベースラインから把握することで変化を見つけることができる。継続的な測定が必要」と指摘しました。
(MK)


●シンポジウム2の様子
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