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このコーナーはMagPlusや雑誌の編集を担当するメンバーによるブログ。誌面だけでは伝えきれない話題をお届けします。

2012.07.05

【Report】日本ジェネリック医薬品学会第6回学術大会


 6月22日と23日の2日間にわたり,日本ジェネリック医薬品学会第6回学術大会(大会長・小山信彌東邦大学医学部教授)が都内で開催されました。今回のテーマは「薬剤情報の共有化に向けて」。なお「情報不足」との指摘もあるジェネリック医薬品について,シンポジウムなどを通じて情報の収集・評価・共有への医療現場の取り組みなどが紹介されました。
 すでに各紙で内容が紹介されているところも多いので,ここでは他紙で紹介されていない講演などを中心に紹介したいと思います。

テオフィリン徐放錠100mgの互換は要注意

 大会初日に「ジェネリック医薬品品質情報検討会の活動内容について」と題し講演した国立医薬品食品衛生研究所の四方田千佳子氏は,テオフィリン徐放錠100mgの溶出挙動が先発3製品間で大きく異なるため,それぞれの先発医薬品を標準品として開発されたジェネリック医薬品の間でも溶出挙動が異なることを指摘し,注意を促しました。
 四方田氏によると,テオフィリン徐放錠100mgには「テオロング錠」(1日2回投与),「テオドール錠」(同),「ユニコン錠・ユニフィル錠」(1日1回投与)の3つの先発医薬品があり,それぞれの溶出挙動が大きく異なるということです。
 そのため,投与回数の異なる製品を互換することはないと考えられるものの,先発医薬品間の互換性や,異なる先発医薬品を標準品として開発したジェネリック医薬品間での互換性は保証されていないことを認識してほしいと呼びかけました。 
 3つの先発医薬品とそれぞれのジェネリック医薬品は以下のとおり。
 
 (先)テオロング錠100mg(エーザイ)(図a)
 (G)セキロイド錠100mg(日医工)

 (先)テオドール錠100mg(田辺三菱)(図b)
 (G)アーデフィリン錠100mg(沢井)
 (G)チルミン錠100mg(鶴原)
 (G)テオフィリン錠100mg「TYK」(大正薬品)

 (先)ユニコン錠100mg(日医工),ユニフィルLA錠100mg(大塚)(図c)
 (G)テオフルマートL錠100mg(東和)

●標準品(先発医薬品)の溶出挙動の違い(四方田千佳子氏提供)

 bとcは似ているように見えるが,回転数が異なることに注意

なぜ先発の一変は問題なくてジェネリックは問題なのか

 学術大会終了後の記者会見では,東京都保険医協会が出したポスターに対する同学会との文書でのやりとりの経緯と今後について意見が述べられました。
 同協会のポスターに対しては3月に同学会が反論,4月には同協会がそれを踏まえた再反論,6月19日に同学会がホームページ上で再々反論するという経緯を経ています。
 この「再々反論」について同学会理事の緒方宏泰氏は,同協会が「再反論」で根拠としている論文に対し「有効性・安全性に直接関連したデータはほとんどない。規格内の誤差に恐れおののくのはどうか。なんとなく意味のない論文でジェネリックはおかしいといっている」と指摘。さらに「なぜ(同じ承認のルールが適用される)先発医薬品の一部変更は問題だという指摘はなくて,ジェネリック医薬品は指摘があるのか。協会側といっしょに検討したい」と述べました。
 これに関連して同学会会長の武藤正樹氏からも,「保険医協会の考え方は,医師の中ではスタンダードなのかもしれない。ぜひこれをいい機会に,保険医協会のようなところとディベートするシンポジウムなどを開けば,対立点がよく見えてわかりあえるのではないか」と対話の機会の重要性を指摘しました。(MK)

●武藤正樹会長(写真中央)
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