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このコーナーはMagPlusや雑誌の編集を担当するメンバーによるブログ。誌面だけでは伝えきれない話題をお届けします。

2012.12.26

「糖尿病診断アクセス革命」@徳島!

拡がる「糖尿病診断アクセス革命」

 『調剤と情報』2012年12月号掲載のインタビュー記事のとおり,東京・足立区で行われてきた「糖尿病診断アクセス革命」が2012年10月から徳島県でも実施されています。
 この研究は,糖尿病の潜在患者発見を目的に薬局店頭での血糖自己測定の可能性を探るねらいで,2010年から矢作直也氏(筑波大学内分泌・代謝糖尿病内科)により進められてきました。
 今回,徳島県の参加薬局の声などを取材しましたので,お届けします。『調剤と情報』の記事と併せてご覧ください。

地元薬学教授の熱意で実現

 「糖尿病診断アクセス革命」の徳島への展開を熱望し実現させたのが,徳島文理大学薬学部の中田素生氏です。中田氏は2011年秋,矢作氏の研究室(当時は東京大学大学院)に“押しかけ”て,徳島での実施を求めたとのこと。

●中田素生氏


 徳島県は糖尿病に関連する死亡率が全国平均より高く,とくに女性では死亡率日本一が続き「糖尿病死亡率日本一の県」といった不名誉なレッテルを貼られていることが,中田氏を動かしたきっかけだそうです。
 その後,準備期間を経て,両氏の共同研究として2012年10月29日にスタートしました。

地域住民も高い関心

さまざまな知識レベルに対応

 参加薬局のひとつ,ツヅキ調剤薬局田浦店では,開始後の3日間で測定実施者が24人に上りました。開始前から新聞やテレビで報道されていたため,電話での問い合わせも多かったとのことです。

●ツヅキ薬局田浦店


 同店で測定を行っている都築和栄氏は,患者のために役に立ちたいという思いを形にできる機会を得て,「やってよかった」と語ります。
 測定に訪れる人はさまざま。糖尿病に関する知識が豊富な人もいれば,「HbA1cとは?」から説明が必要な人も。また,いざ測定しようというときに「針が怖い」といって,なかなか踏み切れない人もいるそうです。測定者一人ひとりの性格などに合わせた説明は,薬局薬剤師の役割であり,腕の見せどころといえます。

●都築和栄氏


採血にコツも

 スマイル調剤薬局山城店では,10月の3日間の測定者は17人。11月の1カ月間が23人だったのを考えると,ツヅキ調剤薬局同様,メディアによる宣伝効果が大きかったことがうかがえます。測定にあたる角本則子氏は,以前より足立区での取り組みを知り,何かできないかと考えていたことから参加に至りました。

●スマイル調剤薬局山城店


 角本氏は,測定時に血が「プックリと出ない」(十分量が採取できない)ケースが思いのほかみられたそうで,測定の難しさを感じたと語ります。ただ,そのほかには大きなトラブルもなく,「どの薬局でも取り組みやすいのでは」とのこと。地域薬局の武器である敷居の低さが活かせる活動ではないでしょうか。

●角本則子氏

処方箋なしで来局するきっかけに

 取材した両薬局で共通しているのは,測定希望者の多くが処方箋を持たずに来局しているということ。つまり,「糖尿病診断アクセス革命」に参加しなければ来局しなかったかもしれない人たちと出会う機会が作られたわけです。
 まだ特定の地域に限定されている試みですが,今後さらなる広がりをみせることになれば,処方箋を持たない住民の健康にも薬局が貢献する実例として,評価されるようになるかもしれません。(NA)


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