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このコーナーはMagPlusや雑誌の編集を担当するメンバーによるブログ。誌面だけでは伝えきれない話題をお届けします。

2012.03.16

今年の薬学会年会は札幌で開催

会見する西島正弘日本薬学会会頭

被災学生・大学院生の参加補助も実施

 日本薬学会第132年会が3月28日から31日まで,札幌市の北海道大学で開催されます。昨年は開催直前に大震災に見舞われ,前代未聞の「誌上開催」となった年会ですが,今年は被災地の学生・大学院生らへの参加費補助など,復興支援の性格も帯びた開催となりました。
 15日には東京・渋谷の長井記念館で記者会見が開かれ,年会の見どころなどが紹介されました。

口頭発表を重視

 今年の年会のテーマは「創薬フロンティアが拓く未来医療」。創薬という言葉を掲げ,基礎面にフォーカスをおいたものとなっています。一般演題は3,717題,たくさんの教室を会場として利用できる大学キャンパスの利点を活かして,口頭発表の演題を1,800題と多く設けたのが特色です。また,今回は学生の口頭発表のなかから「学生優秀発表賞」も贈られることになっています。

モデル・コアカリキュラム改訂への議論も年会で実施

 日本薬学会は文部科学省の委託をうけ,薬学モデル・コアカリキュラム改訂の検討を進めています。これまでに薬学教育者にアンケートを行った結果を,今年会のシンポジウムで発表し,そこでの意見交換も今後の改訂作業の参考にする予定となっています。

被災学生の参加補助は約100人に

 今年会では,東日本大震災で被災した薬学生・大学院生を対象に,学会で発表する場合の参加費・旅費などの一部を補助する制度を設けました。この補助の対象となったのは約100人で,多くが大学院生でした。当初のの300~400人の見込みを下回ったことから,学会では来年以降も同様の補助を続ける意向を示しています。

参加者は減少傾向

 15日時点で参加申し込み数は約5,400人。10年前に札幌で開催したときの参加者約7,000人に比べ1,000人以上のマイナスとなっています。この点について年会組織委員長の松田彰北海道大学教授は,「メーカーの会員は当日参加が多いが,最近はメーカー数も減っている」と今後大きく増える可能性が低いことを示すとともに,「基礎系(4年制)の大学院生が減っていることも(参加者減に)響いていると思う」と分析しました。

基礎薬学の維持発展が医療薬学の構築に寄与

 同日の記者会見では,西島正弘日本薬学会会頭も出席し,薬学会の今後の方針などを説明しました。
 西島会頭は6年制薬学一期生の誕生を「たいへんめでたいこと」と祝福する一方,新たな薬学教育の問題点も検証する必要性を指摘しました。
 とくに強調したのが,研究環境の悪化。「6年制薬学教育により教員の研究時間の減少,大学院生の減少などによる研究環境の悪化がみられる」と指摘。「大学教員は6年制薬学生にも研究の時間がとれるよう工夫してほしい」と述べました。
 さらに西島会頭は,「日本薬学会は今日まで130年以上の歴史を持っており,これまで蓄積してきた世界をリードする基礎薬学をさらに維持発展させ,基礎薬学を基盤とした医療薬学,臨床薬学の構築に取り組んでいきたい」と述べ,6年制薬学のなかで存在感が薄れがちな基礎薬学の重要性を指摘しました。

薬剤師の生涯学習にも参画の意向示す

 また,西島会頭は薬剤師の生涯研修に対して,薬学会も取り組んでいく姿勢を示しました。まだ詳細は未定としながら,日本薬剤師会,日本病院薬剤師会とは違った「学術的な面からの,基礎も含めた学問情報を教えることが中心になる」との見通しを示しました。(MK)

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