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このコーナーはMagPlusや雑誌の編集を担当するメンバーによるブログ。誌面だけでは伝えきれない話題をお届けします。

2014.02.14

地域医療・介護ネットワークの課題は専門性の違いの克服とローコスト運用

 Healthcare Innovation21研究会(代表幹事・武藤正樹国際医療福祉大学大学院教授)の主催によるセミナーが「地域包括ケアシステムを実現するICT」をテーマに11日,東京・赤坂で開かれました。
 団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)を迎える2025年までの医療・介護供給体制作りが進められるなかで,従来の病院・施設でのケアから地域でのケアを指向する「地域包括ケア」の仕組み作りが政府主導で進められていますが,そのなかで人的リソースを有効活用するために欠かせないと考えられているネットワーク作りに,ICT(情報コミュニケーション技術)をどう活用していくかなど,今後の地域医療・介護のネットワーク化の課題を中心に議論が進められました。

職種を超えたネットワーク作りには専門性の違いが課題

 武藤氏は講演で,高齢化の進展と病床規制の影響で,2030年には死亡場所が医療機関でも介護施設でも自宅でもない「その他」の人々が47万人に上るとの推計を紹介し,現在進められているサ高住(サービス付き高齢者住宅)の建設が,これら人々の「死に場所作り」であると説明。サ高住や在宅の高齢者にどのように医療・介護サービスを提供するか,という視点で地域包括ケアの仕組みづくりが進められていることを紹介しました。
 地域での医療・介護サービスの提供は,病院・施設でのサービス提供に比べチーム間の連携を密にする必要があると指摘し,ICTを活用したリアルタイムな情報共有が課題だとしました。一方で,医療職種と介護職種での連携には,高齢者ケアに対する専門性の違いを考慮すべきと指摘。現状でその間を取り持つ「主治医の意見書」も電子化が進んでいない現状をあげ,ハードルの高さを示しました。


武藤正樹氏

今後のネットワーク作りはローコスト運用が課題

 厚生労働省情報政策担当参事官の鯨井佳則氏は,地域包括ケアの仕組みづくりの背景として,2025年の在宅ケアが現在の在宅ケアと質的に大きく異なることがあると指摘。現在,施設介護が中心の要介護度3~5の高齢者を在宅で世話することになるとして,施設介護と同じレベルの介護体制を実現するために24時間定期巡回などを進めていくことを説明しました。
 その際のネットワーク作りのポイントとしては,①システム作り以前に人間関係作りが大事,②零細規模が多い介護事業者も運用できるローコスト運用,③医療と介護の「文化の違い」,「思考の違い」を考慮すること――と指摘しました。
 ローコスト運用の例として鯨井氏は,岩手県宮古市の「宮古サーモンケアネットワーク」を紹介。従来からあるレセプトネットワークを利用して,介護事業所も含めた情報交換・共有を行い,全体のランニングコストを300万~400万円/年に抑えていることを説明しました。


鯨井佳則氏

医療・介護従事者間の閉鎖型SNSサービスを紹介

 eヘルスコネクトコンソーシアム理事長の成田徹郎国際医療福祉大准教授は,患者・要介護者に関係する医療・介護従事者どうしで情報交換・共有を行う閉鎖型SNS(ソーシャルネットワークサービス)の「Medical Care Station」を紹介。無料で使用できる点から,運用開始約1年で2万5,000人の利用者がいることを報告しました。

医療分野のネットワーク活用とセキュリティを考えるフォーラムがスタート

 愛知医科大学の深津博特任教授はこのほど,医療分野でのネットワーク利用に関するセキュリティを考える任意団体「メディカルITセキュリティフォーラム」を設立したことを報告しました。同フォーラムでは,個人情報保護のための対策やBYOD(個人所有機器の業務利用)でのセキュリティ対策ガイドラインなどを提言していく予定だとしています。また,喫緊の課題としては,医療機関でも広く使われ続けているウィンドウズXPのセキュリティ対策を挙げました。
(MK)

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