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このコーナーはMagPlusや雑誌の編集を担当するメンバーによるブログ。誌面だけでは伝えきれない話題をお届けします。

2013.02.27

簡易な情報共有システムで在宅患者を見守るー在宅終末期ケアとICTセミナー

 高齢化に伴い最大で年間に47万人が施設外で死去すると想定されるなか,在宅での「看取り」を多職種で支える仕組みの構築が急務となっています。
 在宅での多職種連携に欠かせないのが情報共有で,ICT(情報通信技術)の活用が進んでいますが,いわゆる「ITリテラシー」の差からうまく使いこなせないなどの問題も出ています。
 医療とICTに関連する9団体の集まりである「e-ヘルスコネクトコンソーシアム」(理事長・成田徹郎国際医療福祉大学准教授,名誉理事長・武藤正樹国際医療福祉大学大学院教授)が2月11日に都内で開催した「在宅終末期ケアとICT」セミナーでは,「ITリテラシー」を克服しつつ情報共有の仕組みを作る事例が紹介されました。

●高齢化の進展とそれを支えるインフラ整備について解説する武藤氏

●クラウド型グループウェアで情報共有

 横浜で診療所を開く朝比奈完氏は,市販のクラウド型グループウェア「サイボウズ Live」を利用して,在宅医療・介護職間で情報共有している事例を紹介。基本機能は無償で提供されており,他施設に導入を依頼しやすいのが特徴。在宅患者ごとに関わるスタッフのみのグループを作成することで,プライバシーも確保しています。現在,約200人の患者を管理していますが,このシステムの導入にあたっては各職種に使い方の指導はとくに行っていないそうです。
 「サイボウズLive」はウェブブラウザを利用してクラウドの情報を閲覧する仕組みで,メッセージのほか画像などの共有も可能などの特徴があります。また,通信機能は必須ですが,端末には情報が残らないというメリットがあるそうです。

●SNS型コミュニケーションツールで情報共有

 都内で開業する野崎クリニックの医療コーディネーター・嵯峨崎泰子氏は,昨年亡くなった流通ジャーナリストの金子哲雄さんを看取る際に活用した,クラウドを利用したSNS型のコミュニケーションツール「メディカルケアステーション」のもたらした効果について紹介しました。
 同ツールを用いてクリニックの主治医や訪問看護師,コーディネーター,他施設のスタッフと情報共有するだけでなく,患者・家族も利用することでコミュニケーションツールとして重要な役割を果たしたことを紹介しました。金子さんや夫人とのメッセージのやり取りは,亡くなるまでの9カ月間に約1,000通にも上り,不安の解消などに役立ったといいます。
 「メディカルケアステーション」はPCや携帯電話,スマートフォンなどで用いる「メッセージ」機能に似た使い勝手ながら,完全非公開型でプライバシーを保護するようになっているのが特徴です。同クリニックでは患者ごとに参加者を限定し,情報の保護を行いました。

●全体討論には鯨井佳則厚生労働省情報政策担当参事官も参加(右から2人目)
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