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このコーナーはMagPlusや雑誌の編集を担当するメンバーによるブログ。誌面だけでは伝えきれない話題をお届けします。

2013.06.26

共同薬物治療管理(CDTM)をキーワードに薬剤師の今後を考える
昭和大学卒後教育セミナー

 昭和大学薬学部の第48回卒後教育セミナーが6月22日,同大学で開催されました。今回のテーマは「共同薬物治療管理(CDTM)による薬剤師業務の広がりとその責任」。厚生労働省医薬食品局総務課薬事企画官の中井清人氏,東京薬科大学情報教育研究センター長の土橋朗氏,フローラ薬局の篠原久仁子氏が,それぞれの「共同薬物治療管理」に対する考えや現場での取り組み,地域医療における薬剤師の役割などについて語りました。

薬剤師の取り組みをエビデンスに

 中井氏は,現状の医薬分業に批判的な意見が多い現状を踏まえ,「医薬分業は20年続いてきたが,30年,40年と続くかわからない」とし,薬剤師が地域医療に対して何ができるのかを示す必要があると指摘。そのキーワードとして,OTC薬販売を通じたプライマリケア,在宅でのチーム医療などを挙げました。
 OTC薬については,ネット販売のルールに関する検討会の事務局を務めた経験を踏まえ,「薬剤師はOTC薬販売(の重要性)を忘れていないか。薬局経営者は(採算が)たいへんだというが,OTC薬は顧客の満足度が一番わかりやすい」と述べ,薬剤師が認知される意味でも重要性を指摘しました。
 また,これからの薬剤師に求められるのは「問題解決能力」だと強調。現場での問題解決のための取り組みを論文にすることで,調剤報酬などの議論の場でのエビデンスにもなることを示し,現場薬剤師と大学との連携により,現場の取り組みを研究に引き上げて成果を示すよう求めました。

●中井清人氏

CDTMの誤解を解く

 土橋氏は,数年前から拡がる「CDTM」という言葉が,人によりさまざまに解釈されている現状について「CDTMは“plastic word”」だと指摘。とくに2010年4月の医政局長通知に示された薬剤師活用の9項目の1番目がCDTMだと誤解している人も多いとして,「誤解を解くのが私の仕事」と述べ,米国の薬剤師が補助的処方権に基づいて行っているCDTMを,日本での薬剤師の業務の展開と同一視しないよう求めました。また土橋氏は,英国の薬剤師や看護師の一部が認められている補助的処方権者と,医師との責任体制のあり方について,「解説書には責任分担しかありえないと書いてある。共同責任などない」と述べ,日本との責任に対する意識の違いにも言及しました。

●土橋朗氏

調剤権を拡大した医師との協働がCDTMの実践

 篠原氏は,薬剤師の調剤行為を拡大することが,日本の法制度でできるCDTMの実践であるという解釈に基づき自身の取り組みを紹介。ジェネリック医薬品変更にあたり処方医に事前に変更の根拠を書面で示し同意を得ることや,薬局の役割を示した糖尿病患者へのインスリン導入パスなどをその例として紹介しました。

●篠原久仁子氏


禁煙で共同薬物治療管理の研究を開始

 また篠原氏は,茨城県笠間市でプロトコルに基づく禁煙支援の研究を開始していることも紹介。これは地元医師会や薬剤師会,中核病院と協力して,禁煙の相談に薬局や診療所を訪れた患者に対し,医療薬での禁煙かOTC薬での禁煙か仕分けるとともに,その後のフォローアップを医師・薬剤師が共同で行う内容。すでに被験者のリクルートも開始しているそうです。(MK)

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