ユーザー登録
ID・パスワードを忘れた方はこちら
ご利用について

MagPlus+


MagPlus+イメージ

MagPlus+

このコーナーはMagPlusや雑誌の編集を担当するメンバーによるブログ。誌面だけでは伝えきれない話題をお届けします。

2013.08.06

薬剤師業務は報酬ありきでなく病院のミッションを考えて
全国都市立病院薬局長協議会


 全国都市立病院薬局長協議会(会長・今泉幸久都立駒込病院薬剤部長)の講演会が7月12日,横浜市で開催され,神戸市立医療センター中央市民病院薬剤部長の橋田亨氏が「薬局長としてのトップマネジメント」について,弁護士の棚瀬慎治氏が「薬剤師としてのリスクマネジメント」についてそれぞれ講演しました。

病棟業務実施加算は増員へのアピールに有効か?

 橋田氏は自治体病院の悩みの種である薬剤師不足の解消策として,診療報酬の「病棟業務実施加算」が本当に有効か,と問題提起。「病棟業務の実施で増収になるので増員を,と考えていると思うが,本当に病院幹部に対し有効か」と疑問を示し,「病院の1日あたり収入に貢献していると主張するには少なすぎるという判断なのではないか」と指摘しました。


●橋田亨氏


●むしろ病院のミッションの実現を意識すべき

 橋田氏は,薬剤師の業務展開を考えるべきポイントは「病院のミッション」であると述べ,その病院が実現したい医療に薬剤師がどう貢献するか,組織のトップが明確な方向性を示すよう求めました。
 同病院の場合,患者を断らない救急医療体制の構築を最大のミッションと考えており,薬剤師もその実現にむけ重症入院病棟への薬剤師を配置していることを紹介。ICUで多発するストレス潰瘍による消化管出血を予防する薬物治療のプロトコルづくりと処方提案などを行っていることを説明しました。

医療者の説明義務は患者の自己決定権を保証するもの

 医療訴訟の医療機関側弁護士として豊富な経験をもつ棚瀬氏は,しばしば訴訟でも争点となる患者への療養指導の義務について,その背景や留意点を解説しました。
 棚瀬氏は患者への療養指導の義務(説明義務)は,憲法13条で認められている患者の自己決定権を保証するためと説明。「患者が治療を決定するためには(医療者の)説明を聞かなければいけない。自己決定権を行使するために医療関係者は説明をしなければいけない」と述べました。


●棚瀬慎治氏


●説明文書は患者が自己決定できるよう工夫を

 また,裁判では指導したしないが論争になることもあるが,医師の場合はカルテに記載すれば説明したと扱われることを紹介。また「口頭での説明は半分も理解できていない」ことから,説明用のパンフレットなどを使用することも,患者が熟慮できるという点で有効だと述べました。その際に,副作用などのリスクをもれなく書くと膨大になり,かえって患者の理解を阻害するため「患者が自己決定できるよう工夫しなければ意味がない」と指摘しました。

●処方代行は医師法違反か?

 質疑応答のなかで,病院薬剤師によるオーダリングシステムへのいわゆる「処方代行」と,医師法との関係についても質問が出されました。
 これに対し棚瀬氏は,「(医師でなくてはできない)絶対的医行為か,相対的医行為かの判断は時代とともに大きく変わってきている。一概にはいえないが,(医行為の判断は)社会情勢で認められることもある」とし,医行為の判断が固定的なものではないことを説明しました。
(MK)

会社案内
利用規約
お問い合わせ